本人を責めること

軽度のうつ病患者は見た目の変化がなく、普通の状態に見える

精神的な病というのは、咳をしたり、顔色が悪かったり、鼻水を出していたりといった見た目の変化はほとんどありません。たとえば、パニック障害という病気がありますが、おそらく普通の人が発作を起こしている人の顔を見ても特に感じることはないでしょう。しかし、発作を起こしている人の中では、今すぐにでも自分がどうにかなってしまうのではないかという恐怖感と戦っているのです。そのまま過呼吸を起こして倒れたり、あるいはしゃがみ込まない限り、病気であることに気づかれない可能性が高いです。

うつ病も同様で、うつ病の人を普通の人が見ても、「この人は病気だ」と感じられないかもしれません。重度のうつ病になると目が落ちくぼんだりと、はっきりとした見た目の変化が現れることがあるのでその場合はわかるかもしれませんが、軽度であれば自分らとまったく変わりない状態に見えるでしょう。普通の人と一緒に見えるというのは、周囲の人にとってもうつ病患者にとっても困ったことになります。周囲からは単にやる気がない人にしか見えず、うつ病と聞いても「病気を言い訳にしてごろごろしているだけじゃないか」と疑いの目を向け、うつ病患者の方はそういった視線がつらくて余計に気が塞いでしまうからです。

家族は自分なりのストレス発散方法を見つけよう

家族などうつ病患者と常に同じテリトリーで生活している人が絶対に避けなければならないのは、患者本人を責めることです。自分は働きに出かける中、患者はいつも家で寝ている。だんだんといらいらしてきて、「うつ病は言い訳じゃないのか」、「いつになったらよくなるんだ」と言いたくなるかもしれません。しかし、絶対に我慢しましょう。もし、どうしてもストレスが溜まって我慢できなくなった場合は、カウンセラーなどに相談してみたり、うつ病患者の家族会などを紹介してもらって参加し、愚痴を言って発散するというのも一つの手です。

また、近年問題になっていますが、うつ病が原因で引きこもってしまった家族がいた場合、「無理矢理でも外に出せば独り立ちするのではないか」と考え、業者に依頼して引っ張り出すようなことも避けましょう。うつ病は引きこもっているから治らない、外に出せば勝手によくなるといった簡単な病気ではありませんし、心がズタズタに傷ついて、うつ病以外の病気を抱え込む可能性もあります。どうして対処していいのかわからない場合は、あくまでも精神科医に相談し、適切な治療を受けさせることが一番です。医者の心当たりがなければ、まず役所の無料相談を利用しましょう。

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